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新型コロナウイルス、今後想定される状況と3つのシナリオ

最終更新日:

執筆者:高荷智也

新型コロナウイルスによる被害、今後終息するのか拡大するのか、どのような状況が考えられるのか、想定されるシナリオパターンをご紹介します。

※2020新型コロナウイルスによる新型肺炎の状況は日ごとに変化しています。当記事は執筆時点の最新状況を元に作成したものですので、最新情報が出ている場合はそちらを優先してください。

新型コロナウイルス、想定される今後の状況は?

 2003年のSARS(サーズ)と2012年のMERS(マーズ)は、幸いパンデミックには到らず局地的な流行で終息しました。2009年の新型インフルエンザはパンデミック(世界的な大流行)となりましたが、幸い致死率が低かったため、死者は世界で203名と、絶対数だけで言えば少数ですみました。

 目下流行中の新型コロナウイルス(2019-nCoV)による新型肺炎が今後どうなるのかは、まだ分かっていませんし、正確に予測をすることも困難です。しかし想定されるシナリオは以下3つに集約されます。

  1. SARSやMERSの様に、局所的なアウトブレイク(集団感染)を生じさせるものの、その後終息する。
  2. 2009年の新型インフルエンザの様に、さらに感染が続き全世界に広がり、WHOからパンデミック宣言(フェーズ6)が発表されるが、致死率が低くなり死者はそれほど増加せず、沈静化する。
  3. 1918~1919年の新型インフルエンザ(スペイン風邪)の様に、パンデミック状態となり、かつ致死率「数%」と極めて高い状態が維持され、全世界で数千万人が死亡する。

1)今後終息する場合

 感染者数が頭打ちとなり、死者も増大しないのであれば、混乱は直に収まります。喧々諤々となるでしょうが、東京オリンピックも無事開催されるのではないでしょうか。こうなることが明らか、あるいはこうなることを想定するのであれば、今手元にあるマスクたちは、季節性インフルエンザ&花粉症対策に使えばよいでしょう。

2)パンデミックへ発展するが、致死率が低い場合

 この場合はやっかいです。WHOからフェーズ6が宣言された場合、新型インフルエンザパンデミックに準じた扱いをするのであれば、日本も政府対策本部主導で様々な対策を講じていくことになります(※1)。2009年のパンデミックと同じように、集会やイベントの自粛要請などが出されるかもしれません。結果として被害は少なくすみ、あとから「政府は過剰に反応しすぎ」とパッシングがでるでしょうが(それもどうかと思いますが)、今後への教訓を残して終息することになります。

3)パンデミックへ発展し、致死率も高い(数%以上)場合

 人類滅亡の危機とは言いませんが、人類史に残る全世界的災害になる可能性があります。感染症による被害は、ペスト・コレラ・新型インフルエンザと繰り返し発生していますが、なにしろ過去の流行期と比較して人口が違います。2020年の世界人口は80億弱(2017年時点で76億人)もいるのです。

 新型コロナウイルスによるパンデミックが、直近の最悪である1918年~19年のスペイン風邪と同じような様相となるのであれば(※2)、世界人口の25~30%、すなわち19億~23億人が感染し、致死率が2.5%だとすると5千万人近くの人が死亡することになります。日本で言えば3千万人が感染して80万人近くが死亡するという数字です。

 事実、新型インフルエンザによる「毒性の強いウイルスによる最悪のパンデミック」はいつ生じてもおかしくないと想定されており、政府が行動計画を作成したり、企業がパンデミックBCP(事業継続計画)を策定したりして、大地震や水害と同じレベルで備えを行っています。今回のコロナウイルスによる被害がこうした状況まで発展するかは分かりませんが、発展しないとは言い切れないということになります。

今後どのシナリオへ進んで行くのか?

 分かりません、私が知りたいです(ごめんなさい…)。2020年1月31日にWHOから一度は見送られた「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」が宣言されました。これを受けて発症国である中国からの感染者拡大が防がれれば、事態は終息して「1)直に終息する」パターンになるかもしれません。

 が、日本を含む複数の国で、人から人への「人人感染」が確認されています。これがすぐに下火になればよいのですが、今回の新型コロナウイルスは「潜伏期間が長い」「症状がなくても感染する」という凶悪なステルス性能を持っています。さらに中国武漢からの感染者は春節以前から旅行などで国内におりましたので、まだ確認されていない感染者がこれからどんどん増える…という可能性もあります。

 全ての患者を政府・厚生労働省が把握している状況が続けば、感染者が増加してもギリギリコントロール下にあると言えます。しかし、感染者が増加して、全ての接触歴を追えない状況になってしまうと、もう感染者の増加をとどめることはできません。ワクチン製造にはまだ時間がかかりますので、国内で数千万人が感染し、自然免疫を持つ人が増えるのを待つだけとなります。この時、ウイルスの毒性が低く、致死率がたいしたことの無い数字(かかっても死なない)のであればさほど問題にはなりません。

 しかし致死率が現状の数%を維持する様な場合、ワクチンが存在しない現状においては感染拡大を防ぐ手段がありませんので、「100人中数名が死ぬロシアンルーレット」に強制参加することになってしまいます。ここまで事態が進捗してしまうと、国内外の物流マヒによる物資不足、医療機関のパンクによる死亡者の増大、一時的な社会機構の停止という状況を招いてしまうのです。

今後のニュース報道に注目する

 国内感染者の数字がきちんと報道発表されている間は、まだ大丈夫です。感染者の数字が正しく発表されなくなってきたら、制御不能状態に陥りつつあるということですから、外出を控えるなどの対応が必要になります(理想的にはもうすべきですが)。

また致死率が「普通のインフルエンザ並」の0.1%程度の値であれば、つまり今流行しているインフルエンザ並の対応で済みます。しかしこれが数%と高い値になってきた場合は、最大限の感染防止策が必要になります。

感染者の状況を正確に把握できているか、感染すると死ぬのか死なないのか、この辺りを日々の報道でチェックすると心の平穏を保てるでしょう。ちなみに、この「感染履歴を追う」という疫学的な行為については、川端裕人先生の「エピデミック」という小説を読むと分かりやすく理解できます。パンデミックを引き起こさないために、感染者を封じ込めてウイルスの原因を特定し流行を潰す、という流れを楽しく学びたい場合におすすめです。

参考資料

※1)新型インフルエンザ等対策政府行動計画(内閣府)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku.html

※2)インフルエンザ・パンデミックに関するQ&A(国立感染症情報センター)
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QA02.html

サイト管理者・執筆専門家

高荷智也(たかにともや)
  • ソナエルワークス代表
  • 高荷智也TAKANI Tomoya
  • 備え・防災アドバイザー
    BCP策定アドバイザー

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